およそ百余年前、
気仙沼の陶器を焼いた平貝。
その西方、高前田の地に
新しい気仙沼の焼きものを求めて、
私は登り窯を築いた。
小さな盃も大きな壷も、
元はといえば見過ごされてきた
この地の土くれ。
その土くれが、私の手を経て
生命をよみがえらせ、
人々の毎日の生活に供する
ことができたなら、
土くれにとっても私にとっても、
大きなよろこびである。
斎藤 乾一
1978年の制作開始から一貫して、地元気仙沼の素材に
こだわってきた。
主原料の粘土は市内2ヵ所から採取する。
釉薬は、登り窯で使用した燃料の木灰等を活用している。
作品は、伝統的な“海鼠釉”(なまこゆう)等の用器から、オリジナルの“瑠璃釉”(るりゆう)による花入、そして現代アートの陶画まで、制作の幅は広い。