
茶わん展を開催するのは2回目になるけど、1回目がいつだったか思い出せない。もう30年は過ぎていると思う。
茶わんと言って思い浮かぶのは、一般的には湯呑み茶わんか飯茶わんかと思うが、展示するのは抹茶を飲む時に用いる茶わんである。形が椀ならなんでも良いようなものだが、茶道に関わる容器となると少なからず難しくなってくる。
茶が飲めばいいだけではなく、「茶わん」にも個性的な魅力がなくてはならない。なぜならば、茶を飲むという行為に精神性が伴って用いられるからだ。1人で茶を飲む時、客に差し上げる時に茶わんは大きな役割を持って人の手のに載ると私は思う。
いわゆる、侘びの美の仲立ちをする大切な容器なのだ。私の作品がほんとうにその役割を果たしているかどうかはわからない。ただ素材を大切にして作り、あるがままの姿を見ていただきと思っている。それは人間にも容器にも言える事だと思うからだ。
人と茶わんとの、良い出合いになることを願っている。